「ハケンアニメ!」--読書の記録 その1

 

 回は、読書の記録をこちらのブログに載せてみようと思います。

 

 紹介する本はこちら!

f:id:MOKAANN22:20200415233057j:plain

 

辻村深月さんの「ハケンアニメ!」です。

 

表紙がとってもかわいい……。ちなみに、裏表紙はイケメンです。

 

 

~あらすじ~

 説の天才アニメ監督・王子千晴が9年ぶりに手掛けるのは『運命戦線リデルライト』。彼が得意とする魔法少女もののアニメだ。一方、同じクールには、期待の新人監督・斎藤瞳が手掛ける『サウンドバック 奏の石』も放送される。アニメに関わる全ての人たちの本気と本気がぶつかり合い、作品が生まれる。果たして多くの人の記憶に、時代に名を残すことができるのは、”覇権アニメ”となるのは、どちらかーー。『運命戦線リデルライト』のプロデューサー・有科香屋子、『サウンドバック 奏の石』を手掛ける斎藤瞳、人気アニメーター並澤和奈の視点から語られる。

 

 

!!こからは、感想のようなことも書いていきます。極力ネタバレ的内容は避けるようには努力しますが、話の内容にはどうしても触れてしまうと思われます。今、超タイムリーに「ハケンアニメ!」を読んでいるという方、今日の夜にでもちょうど読み始めようとしていた方、あるいはまだ読んでいない小説の内容は本以外のところからは絶対に知りたくないという方、もしいらっしゃいましたら、ここから先は後から読んでくださるとありがたいです。

 

 

 直な感想としては、最初から最後まで激アツな一冊でした。登場人物たちそれぞれのアニメへの愛、アニメ制作やそれに関連するプロジェクトへの熱意......。それぞれ立場は違うけれど、それだけは皆変わらず持ち続けている姿やその想いが熱く伝わるセリフにとにかく感動させられました。

 個人的に、中でもものすごく好きなセリフがあります。それはアニメ監督である王子千晴のセリフです。

 

リア充って、現実や恋愛が充実している人間に揶揄して指す言葉があるけど、リアルが充実していなくったって、多くの人は、そう不幸じゃないはずでしょ? 恋人がいなくても、現実がつらくても、心の中に大事に思ってるものがあれば、それがアニメでも、アイドルでも、溺れそうな時にしがみつけるものを持つ人は幸せなはずだ。」

 

 ってみたら意外と長かった…。でも、大好きな言葉です。私は、はっきり言ってリアルが充実してきた人間ではけっしてないし、だからこそ、こんな風に夜中になんとなくブログを書いてたりします(現在、ちょうど深夜0時)。でも、それは全然不幸ではないな、と思って。現実がすごくつまらなかったりしても、すごくいらついたり泣きたいことがあっても、大好きなアーティストの曲を聴けば、思いっきり泣いたり、一人で笑ったりすることができた。テレビでプロ野球を見て、好きな選手がファインプレーをすれば笑顔になれた。めんどい、と思いつつもなんとなく好きだった作文の宿題を書いてるときはいろんなことを忘れられたーー。それらって、すごく幸せなことだったのかもな、と王子千晴のセリフを読んで感じました。

 こういう行動を、現実逃避、と一言に収めてしまう人がいます。というか、学校教育ってそんな感じだったな、と思っています。でも、そうじゃない。アニメやアイドルや、自分にとっては音楽やプロ野球があったから、現実を生き続けることができている。音楽やプロ野球は、私にとって「現実」ではないのかもしれない。でも、それらは私を保つのにとても大きな存在であり、それによって、本当の「現実」を進んでいこうとすることができる。それって、なんだか幸せだな、と思います。

 

 、ここまで王子千晴の一セリフを紹介しました。内容にはあまり触れていないつもりですが、ネタバレと感じてしまった方、いたらすみません。他、いろいろあるんですが、ぜひ登場人物それぞれに注目して読んでほしいですね。ほんと、全員素敵です。こいつ、イラっとするわー、と最初思ったキャラでも、読んでいくとほんと皆素敵です。イラっとっするとか一ミリでも考えてしまって、ほんとすみませんってなります。個人的には、売れっ子アニメーターの並澤和奈さん、すごく好き、というか共感するポイントが多すぎでした。といいつつ、そもそも私は絵が下手すぎるのでアレなんですが。

 

 いうわけで、「ハケンアニメ!」、すごくおすすめなのでぜひぜひご一読ください。おそらく、こんな社会的状況なので家にずっといるし、たまには読書でも…というテンションになりやすいのではないでしょうか。なんだか、おうち時間、という言葉も流行ってるみたいですね、個人的にはこの言葉、いろいろ気に食わないんですが。そんなことはどうでもよくて、おうち時間、暇時間、空き時間、何の時間でもよいので、ぜひ読んでみてください。