数字と、東京ばな奈と

 10月8日、最優秀バッテリー賞が発表された。セリーグは巨人の山口俊、小林誠司バッテリー。巨人は5年ぶりにリーグ優勝、山口は最多勝、最高勝率、最多奪三振の三冠。そして、1年間バッテリーを組み続けたのは4年連続盗塁阻止率1位の小林。今季の成績を考えると当然の受賞だろう。
 野球を見ていて、特に今季の山口を見ていて、数字って大事だな、と改めて思う。毎度毎度すべっているヒーローインタビューのキャラクターもそりゃ大事だが、その前に数字が残っていないときっと受け入れてもらえなかったはずだ。数字には、それだけの説得力がある。何よりも偽れない事実だ。
 
 突然だが、基本的に、復活劇、とか、苦難を乗り越えてつかんだナントカ、みたいなものが私は苦手だ。だって、前提としてどん底になる瞬間がないと、そういう状況は生まれないから。順風満帆に、人の努力通りに進められることを否定されているみたいだから。でも、メディアなどがそういうことを美談として取り上げたがることも少なくない。
 山口についても、ある意味これは復活劇といえるかもしれない。でも、気のせいかもしれないけど、あんまりそういう感じがしないのだ。復活劇という美談ではなく、何というか、もはやネタになっちゃってる、みたいな感じがする。
 そりゃ、間違いはできるだけ起こさないのが正解だし、起こしてしまった間違いはきちんと対処して正さなければならない。でも、その周りの人たちは?それをずっとディスり続けるのか、それとも丸く収めて美談にしてしまうのか?そんなんじゃないでしょ、そのことをネタにできるくらいなにか他のすごいものを見せつけられちゃったんだもの。それが数字。人間はオブラートにつつんだり、話を盛ったりで、すぐにウソをつけるけど、数字は真実をそのまんま表しちゃう。それでこんなに受け入れられたって、相当すごいものだ。数字以外の部分はだいぶネタにしがちだけど、本当にすごいのだ。

 周りが理不尽なほどにディスるのも、不自然なほどにきれいなお話にしてしまうのもどちらにせよそんなに気持ちの良いものではない。小さいネタにするのも果たしていいのかはわからない。けど、今日のところはまあいいかなって、東京ばな奈でも買ってテレビ中継でも見ることにしようか。