7億の赤字がもたらした”利益”
無観客のオープン戦
今季のプロ野球オープン戦は無観客試合という形で行われ、それによっておよそ7億円もの赤字となったそうだ。しかし、そんな中で無観客という状況でしか感じられなかったことが注目されている。打球音、捕球音、審判のコール、選手たちの声......。
個人的に一番感じたことを語弊があることを承知で書くと、もっとも感じられたのは若手選手の本気さだと思う。
なんとなく、近年、若手選手の扱いがよい感じがしない。それは、プロ野球界のみではないのかもしれない。競争心がない、向上心がないと決めつけられ、ゆとりだのさとりだのと一括りにされる。でも、少し考えてみてほしい。本当に、向上心のない人間があれだけ声出しをするのか。声出しは基本、ではあるのかもしれないけれど、それでも、だ。
たしかに、受けてきたのはゆとり教育だ。言われてみれば、悔しさや悲しみを思いっきりおもてに出す人は少ないかもしれない。だけど、それは本当にさとりだったり向上心の欠如だったりするのだろうか。
ポーカーフェイスでも、語気は荒げなくても、そこに熱い思いがあると考えることはできないのだろうか。たしかに少し目をそらすことはあるかもしれないけど、それを逃避と決めつけるのはあまりにも軽率すぎではないのか。あきらめが早いだのと言われてさとりと一括りにされるけど、そもそもさとらなくてはならない世の中にしていったのは誰なのか、というか、ゆとり教育を始めると決めたのはゆとり世代ではないじゃない……。
誰かを責めたいわけではないけれど、無観客試合であらわになった若手の本気は多くの人に見てもらいたいものだった。
いくら大声を出していても、今回チャンスを生かせたとしても、今後のペナントレースで出場機会に恵まれるのはほんの一握りの選手のみだろう。それがプロ野球という世界なんだと思う。だけど、たくさん見せてもらった本気は、無駄になってほしくない、と強く感じた。
現時点では、開幕は4月10日以降と言われているが、それもどうなるかわからない状況だ。開幕しても、声を出す応援は禁止、などの案もちらほら見られる。今までの当たり前にあったプロ野球がもどってくることが最高だが、なんでも、早く毎日野球が見られるようになる日がやってくることを切に願っている。